【感想】ルオー展(汐留ミュージアム)|聖なる芸術家の愛のかたち

f:id:nyansan2:20181111231316j:plain

こんにちは。ニャンさん@nyankodearuです。

 

昨日ルオー展に行ってきました。パナソニック汐留ミュージアムで開催中(2018年9月29日 ~12月9日)の展覧会で、この美術館の開館15周年記念のイベントも兼ねている模様。

 

ジョルジュ・ルオーは敬虔なクリスチャンで、キリスト像などを主題にすることが多く、人々の苦悩や愛というものを表現することを主題に取り組んでいた画家です。

 

ルオーに関する印象的なエピソードがあり、彼が作品の表現方法について迷い、大きなスランプに陥っていた時、彼は自分の心の悩みを友人に手紙で打ち明けました。

 

その時に友人から受け取った返答が、

「世界に愛の最も美しいかたちを与えるのが君の務めだ」

という言葉です。

 

完璧主義者で、自分が納得できた作品以外は絶対に世に出さなかったルオー。この展覧会は、そんなルオーの苦悩の軌跡と、彼が最後にたどり着いた「愛の最も美しいかたち」の答えを知るためのものです。

 

  • 印象に残った絵
  • 感想(総括)

の順番に話をすすめるので、興味がある方はぜひお付き合いください。

 

スポンサーリンク

ルオー展で印象に残った絵

私の印象に残った作品を紹介していきます。全部で7点です。

 

聖顔

f:id:nyansan2:20181111231753j:plain

1933年 紙 油彩、グワッシュ 91.0×65.0cm ポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館

 これはイエス・キリストの顔を描いたもので、ルオーは1912年以降に何度もこのテーマを取り上げました。パリ国立美術館にあるこの作品は、その数ある聖顔シリーズの中でも最高傑作と呼ばれているものです。ステンドグラス職人だった彼特有の太い線と、フォーヴィスム(野獣派)と称されるその激しい色使いは、力強い信仰を感じます。また、聖顔シリーズはこの他にも多数展示されていましたが、中には分厚く隆起するほど塗り重ねられた作品もありました。これは何度も絵を否定しては削り、その度に作り直すように塗り重ねていったルオーの苦悩の表れだという意見があります。

 

ヴェロニカ

f:id:nyansan2:20181111231801j:plain

1945年頃 麻布 油彩 50.0×36.0cm ポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館

 聖女ヴェロニカの伝説に登場する女性を描いた作品です。イエスが十字架を担って丘を登っている最中、このヴェロニカがイエスの汗を布でぬぐったところ、その布にイエスの顔が浮かび上がったという伝説。ちなみに先ほど紹介した「聖顔」は、この時に布に描き出されたイエスの顔を表現した作品です。このヴェロニカは、大きな瞳と微笑を浮かべ、聖顔とは対照的に優しい描かれ方をしており、これもルオーが表現したかった愛のかたちなのかもしれませんね。

 

我らがジャンヌ

f:id:nyansan2:20181111231814j:plain

1948-1949年 紙 油彩 67.0×48.0cm 個人蔵

 15世紀に活躍したとされるフランスの聖女、ジャンヌ・ダルクを描いた作品。彼女は多くの画家によって描かれていますが、このように勇ましく出陣するシーンを取り上げた作品は意外と少ないものです。クリスチャンであったルオーが聖女である彼女に対し、敬意を払うことは自然な流れで、彼女の勇気と強い意志を絵で表現しています。

 

盛り花Ⅰ

f:id:nyansan2:20181111231847j:plain

1949年 ステンドグラス 87.0×62.8cm ジョルジュ・ルオー財団、パリ

 これは嬉しい写真撮影可能な作品。ステンドグラス職人だったルオーが、活動後期に手掛けた作品ですね。この作品の元になった「飾り花」という絵も隣に展示されており、その違いを比較することも出来ました。

 

f:id:nyansan2:20181111231905j:plain

床に映し出されたものも美しい。

 

秋 または ナザレット

f:id:nyansan2:20181111231954j:plain

1948 紙 油彩 68.0×105.0cm ヴァチカン美術館

 キャリア初期の頃、ルオーは数多くの風景画を描いていました。その後は聖顔など宗教に関する絵が主になるものの、1940年代の後半ごろからは再びこのような風景画を多く手掛けるようになりました。特に夕暮れ時をテーマにした作品が多く、彼の人生が終盤に差し掛かっていることも影響していたのかもしれません。若き頃の絵、聖顔などと比べるとその作風は穏やかになっており、優しい情景が描かれていますね。

 

サラ

f:id:nyansan2:20181111232006j:plain

1956年 紙 油彩 55.0×42.0cm ジョルジュ・ルオー財団、パリ

 ルオーの画家としての終着点、サラ。この題名は正式にルオーが決めたものではなく、その家族たちがこの絵をそう呼んでいたことに由来するとか。まるで岩のように隆起するほど厚く塗り重ねられており、そして描かれている女性の表情は優しい印象を受けます。多様な色を使用していますが、かつて野獣派と呼ばれたような激しさは不思議と感じられず、作品全体から穏やかなルオーの心が伝わってくるようです。かつてルオーが友人から受け取った「世界に愛の最も美しいかたちを与えるのが君の務めだ」という言葉。この絵がルオーが表現したかった、愛の最も美しいかたちなのでしょう。

 

スポンサーリンク

ルオー展の感想(総括)

以上、ルオー展で印象に残った作品を紹介しました。

 

私が訪れたのは日曜日にも関わらず閑散としており、すべての絵をゆっくり見て回れたことも幸いし、とても充実した鑑賞になりました。

 

ルオーは一般的に、少しクセが強い…と思われているのかもしれません。独特の太い線に激しい色使いなど。しかし彼の作品は時系列に並べて見ていくと心境の変化が感じ取れ、徐々に穏やかな優しい作風へと変化していく印象。

 

神を信じ、人を愛した完璧主義者であるルオーの絵は、厳しくも優しさに満ち溢れており、観る人の心に強く訴えかけるものがあります。

 

今回の展覧会のように、これほど代表作が揃う機会はなかなかないので、ご鑑賞を検討中の方はぜひ足をお運びください。

 

それでは今回はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

~参考にした書籍~

コメント

タイトルとURLをコピーしました